文章番号:40007

Q&A
学校給食の食器と内分泌かく乱物質問題とはどんな関係があるのですか?
(1) 学校給食の食器と内分泌かく乱物質は何か関係があるのですか。
   
  現在、学校給食で多く利用されている食器にポリカーボネート製のものがあります。この食器は、軽く、汚れも落ちやすいなどの特徴があります。しかし、研究者等からポリカーボネート製食器から内分泌かく乱物質として疑われているビスフェノールAが微量ではあるが溶出するとの報告がなされました。
この溶出は極めて微量であり、厚生労働省の検討会の中間報告では、現在のところ人体に影響を及ぼすレベルではないとの結論が出されています。
   
(2) 学校給食ではどのような材質の食器が使われていますか。
   
  文部科学省が3年毎に行っている「学校給食における食堂・食器具使用状況調査」によると、学校給食で使用されている食器の材質(複数回答)は,平成9年度までの状況では,アルマイトが減少し,プラスチックのポリプロピレンやポリカーボネートが増加してきています。また,徐々に陶磁器を採用する学校が増えてきています。
なお、使用状況の問い合わせが多いことから、平成10、11年度に学校給食におけるポリカーボネート製食器の使用状況の調査を行ないました。
ポリカーボネート製食器の使用率は、平成10年度40.1%、11年度32.7%です。

  アルマイト ステンレス メラミン ポリプロピレン ポリカーボネート ガラス 耐熱強化ガラス 陶磁器 強化磁器 その他
昭和59年度 60.1% 11.9% 9.4% 33.0%     0.9%       0.8%
昭和63年度 54.8% 13.7% 17.4% 40.9%   0.1% 1.2% 0.4% 0.1%   1.5%
平成3年度 43.3% 14.0% 17.5% 44.2%   1.2% 4.7% 5.5% 0.3%   2.6%
平成6年度 32.4% 11.1% 18.0% 41.5% 16.8% 0.2% 6.1% 10.0% 0.4%   0.8%
平成9年度 22.8% 9.0% 17.3% 34.2% 33.5% 0.1% 5.3% 13.2% 0.3%   1.8%
平成12年度 17.8% 9.4% 16.4% 37.7% 23.5% 0.3% 6.4% 22.1% 0.5%   2%
平成15年度 13.1% 8.5% 14% 36% 10.2% 0.1% 3.8% 8.6% 0.5% 21.4% 2%
学校給食における食堂・食器具使用状況調査(文部科学省調べ)
注) 昭和59年度調査では「ガラス」「耐熱強化ガラス」及び「陶磁器」を区分しておらず,「ガラス・陶磁器」として調査を行っている。表では,耐熱強化ガラスの欄に記載した。また,木は「その他」に含まれている。
平成3年度以前は,ポリカーボネートを区分していない。
平成15年度調査から、材質に強化磁器を追加

   
(3) 食器にはどのような特徴があるのですか。
   
  主に給食用として使用される食器の材質には,次の表のような特徴があります。

材質 比重 耐熱性 表面硬度 耐衝撃性 引っ張り強さ 耐摩耗性 耐染色性
材料
プラスチック ポリカーボネート やや軽い やや弱い やや軟らかい 強い やや強い やや弱い 着色しにくい
メラミン樹脂 やや軽い やや弱い 硬い やや弱い やや強い やや強い やや着色しやすい
ポリプロピレン 軽い 弱い 軟らかい やや強い 弱い 弱い やや着色しやすい
金属 アルミニウム
(アルマイト)
やや重い 強い 硬い 強い 強い やや弱い ほとんど着色しない
ステンレス 重い 最も強い 最も硬い 最も強い 最も強い 強い ほとんど着色しない
ガラス ガラス やや重い やや弱い 最も硬い 弱い 弱い 最も強い ほとんど着色しない
耐熱強化ガラス やや重い やや強い 最も硬い 弱い やや弱い 最も強い ほとんど着色しない
陶磁器 陶器 やや重い 強い 硬い 弱い やや弱い やや強い 着色しやすい
磁器 やや重い 最も強い 最も硬い 弱い やや弱い 強い ほとんど着色しない
高強度磁器 やや重い 最も強い 最も硬い やや弱い やや弱い 強い ほとんど着色しない
木(木材の性質) 軽い やや強い 軟らかい 強い やや強い 弱い 着色しやすい
日本体育・学校健康センター「学校給食のための食器具の知識」(平成6年3月)より抜粋し作成
   
(4) ポリカーボネート製食器の特徴は何ですか。
   
  ポリカーボネート製食器はビスフェノールAを主原料とする合成樹脂(プラスチック)からできています。特徴は,比較的軽く,壊れにくく,色移りしないため,近年学校給食用として多く採用されている食器です。
   
(5) 食器の安全性はどうなっていますか。
   
  食品衛生法第十五条によると,営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならない」と定められています。また,第9条では,「有毒な若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を害うおそれがある器具若しくは容器包装又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより,人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装はこれを販売し,販売に供するために製造し,若しくは輸入し,または営業上使用してはならない。」と記述されています。したがって,有害な物質が溶出して人の健康をそこなうおそれのあるような食器具は使用できないことになっています。

では、「人の健康をそこなうおそれがない場合」とはどのような場合かというと,食品衛生法施行規則第1条に次のように記されています。

1 有毒な又は有害な物質であっても、自然に食品又は添加物に含まれ又は附着して入るものであって、その程度又は処理により一般に人の健康を損なうおそれがないと認められる場合。
2 食品又は添加物の生産上有毒な又は有害な物質を混合し又は添加することがやむを得ない場合であって、かつ人の健康を損なうおそれがないと認められる場合。

したがって、食器具から溶出する化合物の量が、人に影響を与える量に比べて明らかに少なければ、その食器具は安全なものと考えてよいでしょう。

食品衛生法では厚生労働大臣が食器具について規格基準を設けることができることとなっています。その規格基準が厚生労働省告示第370号に示されています。

材質については,次のような基準が定められています。

合成樹脂
ポリカーボネートなどの合成樹脂には,合成樹脂一般についての規格(一般規格)と特定の樹脂に対しての個別の規格(個別規格)とがあります。個別規格のある樹脂の製品は,一般規格のほか個別に定められた基準に合格しなければなりません。規格には材質試験と製品の溶出試験とがあります。

(日本体育・学校健康センター「学校給食のための食器具の知識」(平成6年3月発行)より関係部分抜粋)

   
(6) ポリカーボネート製食器の規格基準はどうなっていますか。
   
  食品衛生法に基づき定められた「食品、添加物等の規格基準」をまとめると、次のようになります。

材質試験
試験項目 規 格
カドミウム 100ppm以下
100ppm以下
ビスフェノールA※1 500ppm以下
ジフェニルカーボネート 500ppm以下
アミン類※2 1ppm以下

溶出試験
試験項目 規 格 試験溶液※2 浸出条件
重金属(鉛として) 1ppm以下 4%酢酸 60℃30分間(100℃以上で使用のものは95℃30分間)
過マンガン酸カリウム消費量 10ppm以下
蒸発残留物 30ppm以下
4%酢酸
20%エタノール 60℃30分間
n-ヘプタン 25℃1時間
ビスフェノールA※1 2.5ppm以下 60℃30分間(100℃以上で使用のものは95℃30分間)
4%酢酸
20%エタノール 60℃30分間
n-ヘプタン 25℃1時間
注) ※1: フェノール及びp-tert-ブチルフェノールを含む。
  ※2: トリエチルアニン及びトリブチルアミン。
  ※3: 蒸発残留物及びビスフェノールAの溶出試験の試験溶液は(1)油脂及び脂肪性食品;n-ヘプタン,(2)酒類;20%エタノール。(1),(2)以外でpH5を超えるものは水,pH5以下のものは4%酢酸。

微量単位
重さ
kg(キログラム)
g(グラム)
mg(ミリグラム) 10-3g(千分の1グラム)
μg(マイクログラム) 10-6g(100万分の1グラム)
ng(ナノグラム) 10-9g(10億分の1グラム)
pg(ピコグラム) 10-12g(1兆分の1グラム)
濃度
ppm(parts per million) 100万分の1  通常μg/gで表示
ppb(parts per billion) 10億分の1  通常ng/gで表示

   
(7) 学校給食用ポリカーボネート製食器の取扱い上の注意点は何ですか。
   
 

学校給食衛生管理の基準(平成9年4月1日付文部科学省体育局長通知)では,食器具等は,使用後に80℃,5分間以上又はこれと同等の効果を有する方法で確実に消毒されることとしています。
この外、基準にはありませんが、次のことに留意することが望ましいとされています。

洗浄の際の注意点
1 食器を洗う際は,柔らかいスポンジを使用する。
2 すすぎは完全に行う。
3 中性洗剤の使用が望ましい。
熱湯消毒の際の注意点
4 長時間の熱湯処理をしない。
5 乾燥温度を必要以上に上げないこと。
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