文章番号:40021

海外での取組状況
 
(1) 世界の取組の動向
   
1) 1997年にオタワで開催された「化学物質の安全性に関する各国政府間フォーラム(IFCS)」では、内分泌かく乱物質の潜在的なヒトへの影響や環境に対する影響の可能性が指摘された。さらに、この問題の科学的知見が不足していることから、調査研究と各国・国際機関の情報交換を積極的に進めることについて「化学物質の健全管理のための組織間プログラム(IOMC)」を通じて関係機関に働きかけていくことが勧告された。
1997年5月には、米国で開催された8カ国環境大臣会合において、子供の環境保健という議題の中で内分泌かく乱物質問題について議論され、会議の宣言の中で「内分泌かく乱物質は"子供の健康へのさしせまった驚異である"との認識のもと、科学的な知見の国際的な評価や、優先順位を付けた研究協力の推進を強調し、内分泌かく乱物質の主要な発生源や環境中の運命が特定された場合のリスク管理や予防戦略を協力的に進め、国民に対する情報の提供を促進する」との趣旨が述べられた。
引き続く、第50回世界保健機関(WHO)総会(1997年)においては、内分泌かく乱物質問題に対するリスクアセスメント(危険評価)と、それらの化学物質への曝露によって生じ得る健康影響の研究に対して、WHOのリーダーシップを補強するために必要な限りの手段をとることを決議した(WHA 50.13,1997)。
   
2) 国際化学物質安全性計画(IPCS)は、IFCSの勧告を踏まえ、IPCS/OECD合同会議を開催し、本問題についての知見を国際的に収集し、2000年を目途に本問題についてのヒトへの潜在的な健康影響について認識をとりまとめるとともに、進行中の研究情報を整理し、データベースの策定等を行うこととした。
   
3) 経済協力開発機構(OECD)は、国際社会が共同で本問題について取り組むための基本戦略を検討するとともに、標準とすべき試験方法の開発等を進めつつある。
1996年11月内分泌かく乱物質についてのスクリーニング手法を含めたテストガイドラインの開発に着手する事を決めた。
1998年2月、内分泌かく乱物質の試験と評価に関するOECDワーキンググループ(EDTA)が設置され、表記の問題についての活動が進行中である。
   
4) 欧州委員会(EC)は1996年12月、ヨーロッパ環境庁(EEA)、環境と健康に関するWHOヨーロッパセンター(WHO-EC)、OECD等の機関やイギリス、ドイツ等の各国と協同で、イギリス、ウェイブリッジにおいて「人の健康と野生生物に対する内分泌かく乱物質の影響に関するヨーロッパ・ワークショップ」を開催した。この会議の目的は、ヨーロッパにおけるこの問題の状況を把握し、得られている知見とのギャップ及び疫学的な疑問を明らかにし、ヨーロッパにおける研究の進捗状況を要約することとした。さらに欧州委員会及び国際的な研究プログラムのための優先順位、モニタリングの必要性、現在のスクリーニング法が適当であるかどうかの評価及びより適切な手法の開発を推奨することとした。
   
(2) 諸外国の取組
   
米国の取組
  1995年、大統領府は環境自然資源委員会(CENR)を設置し、内分泌かく乱物質に関する総合的な研究推進登録を開始、つづく1997年1月には大統領府科学技術政策室は環境保護庁(EPA)と共同で、諸外国からの専門家を招きいわゆるスミソニアン・ワークショップを開催、その後の研究開発の方向性を明らかにした。
1996年8月、食品品質保護法(FQPA)及び飲料水安全法(SDWA)等が相次いで改正され、ヒトの健康に影響を与える可能性のある内分泌かく乱物質の検出法を1998年8月までに確立し、1999年8月までにはそれらの試験を実施し、2000年8月までに議会に報告することが決まった。
本問題についての諮問委員会、EDSTAC(「内分泌かく乱物質のスクリーニングと検査の方法に関する諮問委員会」(Endocrine Disruptor Screening and Testing Advisory Committee))は、これを効果的に推進するために1996年5月に設置されたもので、その報告書は、(1)内分泌かく乱物質の紹介(2)その背景(3)同物質に関する基本的な考え方(4)試験検討の優先順位付け(5)スクリーニングと検査に関する推奨すべき実施方法(6)リスクコミュニケーションに関する問題(7)これまでの章に示された勧告のまとめ、の7章からなり、今後の米国における本問題に係る基本方針等を示している。