WHO「たばこ規制枠組条約」について
健康被害の大きいたばこの消費を減らそうと、WHOはたばこの広告や販売を規制する「たばこ規制枠組条約」を採択した。
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(略称たばこ規制枠組条約)(抜粋)
前文
この条約の締約国は、公衆の健康を保護する自国の権利を優先させることを決意し、たばこによる害の広がりが公衆の健康に深刻な影響を及ぼす世界的な問題であること、また、この問題についてできる限り広範な国際協力を行うこと並びにすべての国が効果的な、適当な及び包括的な国際的対応に参加することが必要であることを認識し、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが世界的規模で健康、社会、経済及び環境に及ぼす破壊的な影響についての国際社会の懸念を考慮し、(中略)、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていること並びにたばこ製品の煙にさらされること(中略)を認識し、紙巻たばこ及びたばこを含む他の製品が依存を引き起こし及び維持するような高度の仕様となっていること、紙巻たばこが含む化合物の多くに及び紙巻たばこから生ずる煙に薬理活性、毒性、変異原性及び発がん性があること並びにたばこへの依存が主要な国際的な疾病の分類において一の疾患として別個に分類されていることを認識し、出生前にたばこの煙にさらされることが児童の健康上及び発育上の条件に悪影響を及ぼすという明白な科学的証拠があることを認め、児童及び青少年による喫煙その他の形態のたばこの消費が世界的規模で増大していること、特に喫煙の一層の低年齢化を深く憂慮し、年少の女子その他女子による喫煙その他の形態のたばこの消費が世界的規模で増大していることを危険な事態として受け止め、(中略)、たばこ製品の使用を奨励することを目的とするあらゆる形態の広告、販売促進及び後援の影響を深く憂慮し、(中略)世界保健機関憲章の前文において、到達し得る最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一であることが規定されていることを想起し、最新の及び関連する科学、技術及び経済の分野における考察に基礎を置くたばこの規制のための措置をとることを促進することを決意し、(中略)千九百八十九年十一月二十日に国際連合総会が採択した児童の権利に関する条約において、同条約の締約国は児童が到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認めることが規定されていることを想起して、次のとおり協定した。
第二部 目的、基本原則及び一般的義務
第三条 目的
この条約及び議定書は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させるため、締約国が自国において並びに地域的及び国際的に実施するたばこの規制のための措置についての枠組みを提供することにより、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とする。
第四条 基本原則
締約国は、この条約及び議定書の目的を達成し及びその規定を実施するため、特に次に掲げる原則を指針とする。
1 すべての者は、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることがもたらす健康への影響、習慣性及び死亡の脅威について知らされるべきであり、また、たばこの煙にさらされることからすべての者を保護するため、適当な段階の政府において効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置が考慮されるべきである。
(2、3、4、5、6、7略)
第八条 たばこの煙にさらされることからの保護
1 締約国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する。
2 締約国は、屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及び適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を国内法によって決定された既存の国の権限の範囲内で採択し及び実施し、並びに権限のある他の当局による当該措置の採択及び実施を積極的に促進する。
第十一条 たばこ製品の包装及びラベル
1 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後三年以内に、その国内法に従い、次のことを確保するため、効果的な措置を採択し及び実施する。
(a) たばこ製品の包装及びラベルについて、虚偽の、誤認させる若しくは詐欺的な手段又はたばこ製品の特性、健康への影響、危険若しくは排出物について誤った印象を生ずるおそれのある手段(特定のたばこ製品が他のたばこ製品より有害性が低いとの誤った印象を直接的又は間接的に生ずる用語、形容的表示、商標、表象による表示その他の表示を含む。)を用いることによってたばこ製品の販売を促進しないこと。これらの手段には、例えば、「ロー・タール」、「ライト」、「ウルトラ・ライト」又は「マイルド」の用語を含めることができる。
(b) たばこ製品の個装その他の包装並びにあらゆる外側の包装及びラベルには、たばこの使用による有害な影響を記述する健康に関する警告を付するものとし、また、他の適当な情報を含めることができること。これらの警告及び情報は、
(i) 権限のある国内当局が承認する。
(ii) 複数のものを組合せを替えて表示する。
(iii) 大きなもの、明瞭なもの並びに視認及び判読の可能なものとする。
(iv) 主たる表示面の五十パーセント以上を占めるべきであり、主たる表示面の三十パーセントを下回るものであってはならない。
(v) 写真若しくは絵によることができ、又は写真若しくは絵を含めることができる。
2 たばこ製品の個装その他の包装並びにあらゆる外側の包装及びラベルには、1(b)に規定する警告に加え、たばこ製品の関連のある含有物及び排出物であって国内当局が定めるものについての情報を含める。
3 締約国は、1(b)及び2に規定する警告その他文字による情報をたばこ製品の個装その他の包装並びにあらゆる外側の包装及びラベルに自国の主要な一又は複数の言語で記載することを要求する。
4 この条の規定の適用上、たばこ製品に関する「外側の包装及びラベル」とは、当該たばこ製品の小売販売に使用されるあらゆる包装及びラベルをいう。
第十二条 教育、情報の伝達、訓練及び啓発
締約国は、適当な場合にはすべての利用可能な情報の伝達のための手段を用いて、たばこの規制に関連する問題についての啓発を促進し及び強化する。このため、締約国は、次のことを促進するための効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を採択し及び実施する。
(a) たばこの消費及びたばこの煙にさらされることによる健康に対する危険(習慣性を含む。)についての教育及び啓発のための効果的かつ包括的なプログラムヘの広範な参加の機会の提供
(b) たばこの消費及びたばこの煙にさらされることによる健康に対する危険並びに第十四条2の規定によりたばこの使用の中止及びたばこのない生活様式がもだらす利益についての啓発
(c) たばこ産業に関する広範な情報であってこの条約の目的に関連するものの自国の国内法に基づく公開。
(d) 保健に従事する者、地域社会のために働く者、社会福祉活動に従事する者、報道に従事する者、教育者、意思決定を行う者、行政官その他の関係者に対する、たばこの規制に関する効果的かつ適当な訓練又は啓発のためのプログラム
(e) たばこの規制のための複数の部門にわたるプログラム及び戦略の策定及び実施におけるたばこ産業と関係を有しない公的な及び民間の団体並びに非政府機関の啓発及び参加。
(f) たばこの生産及び消費が健康、経済及び環境に及ぼす悪影響に関する情報についての啓発及びその情報の取得の機会の提供
第十三条 たばこの広告、販売促進及び後援
1 締約国は、広告、販売促進及び後援の包括的な禁止がたばこ製品の消費を減少させるであろうことを認識する。
2 締約国は、自国の憲法又は憲法上の原則に従い、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援の包括的な禁止を行う。この包括的な禁止には、自国が利用し得る法的環境及び技術的手段に従うことを条件として、自国の領域から行われる国境を越える広告、販売促進及び後援の包括的な禁止を含める。この点に関し、締約国は、この条約が自国について効力を生じた後五年以内に、適当な立法上、執行上、行政上又は他の措置をとり、及び第二十一条の規定に従って報告する。
3 自国の憲法又は憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国は、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援に制限を課する。この制限には、自国が利用し得る法的環境及び技術的手段に従うことを条件として、自国の領域から行われる国境を越える効果を有する広告、販売促進及び後援の制限又は包括的な禁止を含める。この点に関し、締約国は、適当な立法上、執行上、行政上又は他の適当な措置をとり、及び第二十一条の規定に従って報告する。
4 締約国は、憲法又は憲法上の原則に従い、少なくとも次のことを行う。
(a) 虚偽の、誤認させる若しくは詐欺的な手段又はたばこ製品の特性、健康への影響、危険若しくは排出物について誤った印象を生ずるおそれのある手段を用いることによってたばこ製品の販売を促進するあらゆる形態のたばこの広告、販売促進及び後援を禁止すること。
(b) あらゆるたばこの広告並びに適当な場合にはたばこの販売促進及び後援に当たり健康に関する警告若しくは情報又は他の適当な警告若しくは情報を付すことを要求すること。
(c) 公衆によるたばこ製品の購入を奨励する直接又は間接の奨励措置の利用を制限すること。
(d) 包括的な禁止を行っていない場合には、まだ禁止されていない広告、販売促進及び後援へのたばこ産業による支出について関連する政府当局に対し開示することを要求すること。当該政府当局は、国内法に従い、当該支出の額を公衆に開示すること及び第二十一条の規定に従い締約国会議に開示することを決定することができる。
(e) ラジオ、テレビジョン、印刷媒体及び適当な場合には他の媒体(例えば、インターネット)におけるたばこの広告、販売促進及び後援について、五年以内に、包括的な禁止を行い、又は自国の憲法若しくは憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国の場合には、制限すること。
(f) 国際的な催し、活動又はそれらの参加者に対するたばこの後援を禁止し、又は自国の憲法若しくは憲法上の原則のために禁止する状況にない締約国の場合には、制限すること。
(5、6、7、8略)
第十六条 未成年者への及び未成年者による販売
1 締約国は、国内法によって定める年齢又は十八歳未満の者に対するたばこ製品の販売を禁止するため、適当な段階の政府において効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を採択し及び実施する。これらの措置には、次のことを含めることができる。
(a) たばこ製品のすべての販売者が未成年者に対するたばこの販売の禁止について明確な、かつ、目につきやすい表示を販売所の中に掲げること及び疑義のある場合にはたばこの購入者に対し成年に達していることを示す適当な証拠の提示を求めることを要求すること。
(b) 店の棚への陳列等たばこ製品に直接触れることのできるあらゆる方法によるたばこ製品の販売を禁止すること。
(c) 未成年者の興味をひくたばこ製品の形をした菓子、がん具その他の物の製造及び販売を禁止すること。
(d) 自国の管轄の下にあるたばこの自動販売機が未成年者によって利用されないこと及びそのような自動販売機によって未成年者に対するたばこ製品の販売が促進されないことを確保すること。
2 締約国は、公衆、特に未成年者へのたばこ製品の無償の配布を禁止し又はその禁止を促進する。
3 締約国は、紙巻たばこの一本ずつの販売又は未成年者にとってたばこ製品の入手の可能性を増加させるような小型の個装による販売を禁止するよう努める。
4 締約国は、未成年者へのたばこ製品の販売を防止するための措置が、その効果を高めることを目的として、適当な場合には、この条約の他の規定と併せて実施されるべきであることを認識する。
5 締約国は、この条約に署名し、これを批准し、受諾し、承認し若しくはこれに加入する時に又はその後いつでも、拘束力のある書面による宣言を行うことにより、自国の管轄内におけるたばこの自動販売機の導入の禁止又は適当な場合にはたばこの自動販売機の全面的な禁止を約束することを明らかにすることができる。寄託者は、この5の規定に従って行われた宣言をこの条約のすべての締約国に送付する。
(6、7略)
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