文章番号:30167

指導の実際

3.授業の展開例

4.中学校における展開例

自己主張的コミュニケーション「もし友達からシンナーをすすめられたら」

1 題材設定の理由

青少年による薬物乱用は、薬物が容易に入手できる社会環境の変化などが要因となって、今や大きな社会問題となっている。乱用のきっかけが、友達や先輩に誘われたり、面白そうだという好奇心や仲間外れになりたくないからなどの理由であることからも分かるとおり、単に薬物乱用がもたらす悪影響について学習するだけでは、必ずしも健康的な行動選択に結び付かない場合も予想される。中学生の発達段階として、友人の言動に強く影響されることから、友人からシンナーをすすめられるという状況を設定し、そうした圧力に対処するスキルを習得させることは、現実場面でより良い行動を選択するために大きな効果があると考えられている。このようなスキルを習得することが、薬物乱用を避けるという実際の行動に発展する「初めの一歩」ととらえ、この題材を設定した。

2 指導のねらい
  1. 友人から薬物をすすめられるという状況設定において望ましい対処方法が実践できるようにする。
3 展開
指導事項 学習活動・内容 指導・支援上の留意点
有機溶剤(シンナー)の初回乱用動機・勧誘形態
  1. 図表10-1を提示し、青少年の有機溶剤乱用の初回使用動機・勧誘形態を把握する。
  • 初回使用動機、勧誘形態の第1が、「同性の友人に誘われて」であることを強調する。
  • 図表10-1をOHPかプリントで示す。
ケーススタディ1
  1. 物語1(図表10-2)を配り、内に台詞を入れる。

    ◎物語1と物語2は同時に配布しない。

  2. 小集団(班)内で台詞を発表する。
    その理由も言わせる。
  • ここでは生徒の選択行動パターンを把握するので、自分の思ったことを自由に書かせる。
  • 机間巡視をしながら、生徒の考えを把握する。
  • 生徒の発表に対し、教師も他の生徒も批判などは一切言わない。
ディスカッション
  1. 曖昧な態度群(A)と毅然とした態度群(B)に分けディスカッションをする。
  • 「間違っている」、「正しい」という判断よりも、その行動によって『予測される結果』に目を向けさせるようにする。
ケーススタディ2
  1. 物語2(図表10-3)を配り、内に台詞を入れる。
  2. 小集団内で台詞を発表する。
  • ディスカッションを通して、友人の誘い(圧力)に対して屈しないスキルを強調する。
  • 身振り、姿勢、視線、表情、逃避などの使い方も重要であることを助言する。
まとめ
  1. 学習カード(図表10-4)を配りこれから「生き方や在り方」についてまとめる。
  • 心の停留所の選択肢の配列は価値の高い順ではないことに留意するように促す。
4 準備
  1. 図表10-1:「有機溶剤乱用の実態」
    初回使用動機(使用目的でみたもの)
    使用動機 n=354
    刺激を求めて 57.3%
    快感を求めて 29.4%
    ストレス解消 19.8%
    やけになって 18.9%
    不安除去 9.3%
    覚せい効果 1.4%
    疲労除去 1.1%
    その他 9.4%
    不明 15.5%
    初回使用のきっかけとなった人
    間柄 n=354
    同性の友人 78.0%
    異性の友人 6.2%
    知 人 1.7%
    同 胞 1.1%
    同棲中の相手 0.8%
    密売人 0.3%
    その他 6.5%
    不明 5.4%
    初回使用動機(勧誘形態からみたもの)
    使用動機 n=354
    誘われて 74.6%
    自発的 27.4%
    強制されて 2.0%
    その他 2.8%
    不明 9.9%
    国立精神・神経センター 精神保健研究所 薬物依存研究部長 和田 清
    (有機溶剤乱用の実態 病院調査より)
  2. 図表10-2:「物語1」
  3. 図表10-3:「物語2」
  4. 図表10-4:「学習カード
5 評価
  1. シンナーなどの乱用動機のうちでは、「友人からの誘い」が最も多いことを理解できたか。
  2. シンナーなどの誘いに対して毅然と断る態度が大切であることを理解できたか。
6 家庭・地域との連携
  1. 本時で学習したことを家庭の中で話題にする。
  2. 保護者の意見や感想を書いてもらい、連携を図る。

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