文章番号:30165

指導の実際

3.授業の展開例

4.中学校における展開例

ストレス対処「この気持ち、どうしたらいいの?」

1 題材設定の理由

人は、ストレスに対し様々な方法で対処している。しかし、対処法の中には、長期的に見れば好ましくない結果をもたらすような方法もある。そうした対処法の一つが薬物の乱用である。しかし、より健康的な方法で、ストレスに対処するスキルを学んでいれば、薬物乱用の危険性を回避する能力が高まると考えられる。ここでは、ストレス対処スキルについて知り、より健康的にストレスに対処する能力を高めるために、この題材を設定した。

2 指導のねらい
  1. 様々な事柄がストレスの原因となることについて理解できるよにする。
  2. ストレスは様々な心理、身体、行動上の反応を生じることについて理解できるようにする。
  3. ストレスに対してより健康的な対処方法を実践できるよにする。
3 展開
指導事項 学習活動・内容 指導・支援上の留意点
ストレス源
  1. 同年代に生徒の手記を読み、ストレスの原因について考える。(図表9-1)(グループワーク)
  • いま、筆者が感じている気持ちを表すことばを手記からひろい出す。
  • ひろいだいした言葉から、筆者の不安や悩み、気になっていることなど、ストレスの原因として考えられることを各自の言葉でグループワークシート(模造紙)(図表9-2)のステップ1に書き込む。
  • 手記を通して、生徒一人一人がこの発達段階で感じるストレスの原因について自分のこととして考え、明らかにさせる。
  • ワークシートへの記入内容は、自分の体験を通してストレスとなる状況などをいくつ書いても良いことを知らせる。
  • 誰にでもストレス(不安や悩み、緊張)があることを知らせる。
ストレス反応
  1. 悩みや不安、緊張がある時に、心や体がどんな状態(感じ)になるかを知る。
  • ストレスがある時、心や体・行動にどんな反応が現れるか自分の経験を、グループワークシート(図表9-2)のステップ2に書き込んでいく。
  • ストレス・不安・緊張にともなう生理的・心理的変化についての気づきを促す。
  • 心や体、行動の変化の例をあげて生徒が具体的に考えることができるようにする。
  • ストレスの影響は行動にも現れることに気づかせる。

    (例)心:心配、そわそわ、悲しい
    体:頭が痛い、腹痛、嘔吐
    行動:喫煙や飲酒

ストレスへの対処法
  1. 不安や悩み・緊張などのストレスがある時、どんな方法をとるとリラックスできるのか、元気が出てくるか考える。
  • ステップ1で出された不安や悩みの中から特に共感できるものを1~2選び、それについて自分自身のストレス解消方法のほか、グループ内で考えられる方法をできるだけ多く付箋紙に書き出して、グループワークシートのステップ3に貼りつける。
  1. グループワークの結果を発表する。
  • ステップ1から3まで、各班ごとに発表する。
  • ストレスが生じた時に、その状況を避けたり、リラックスしたり、何が起きているのかとらえなおすために、どんなことができるか、考えさせる。
  • できるだけたくさん具体的なアイデアを出させる。
  • 手記の筆者がとった行動は除いて考えさせる。
  • 発表される内容を聞いて、ストレス源、ストレス反応、ストレスの扱い方について生徒一人一人の考え方が広がるようにする。
自分の生活への適用
  1. 各班の発表を聞き、各自が自分の生活に生かすことができそうなストレス対処(リラックス方法)を考える。
  2. 学習カードに、今日の授業で気づいたこと、これからの自分の生活に生かそうと思うことを記入する。
  • ストレスを解消するための健康的な方法がいくつもあることを確認させる。
  • ふだんの生活の中で、どの方法が実行できそうか考えさせる。
4 準備
  1. 図表9-1:「ある中学生の手記」

    このごろ、何もやる気がおきない。だるい。特に楽しいということもない。家でも学校でもイライラすることやむかつくことばっかりだ。急に不安になることもある。自分もいつ切れるかわからないと思っている。時々、夜中に出かけることもある。家の人にはコーラを買いに行くとか言えばばれない。ばれたこともあるけど、おやじもおふくろも俺のことをびびっているから目を合わせない。同じようなことを思っている友達の家に泊まって学校でむかついたことなんかを話すことが多くなった。そこでたばこも覚えた。最近、その仲間がSやってみようかと言い出した。

  2. 図表9-2:「グループワークシート」(グループワークシートとして模造紙大の記録用紙をグループ数分準備しておく。)
  3. 生徒の人数分のマジックを用意し、各グループに配布する。
  4. 手記を人数分プリントして配布する。
  5. 発表時に使う黒板用マグネットを準備しておく。
5 評価
  1. 様々な事柄がストレスの原因となることが理解できたか。
  2. ストレスは様々な心理、身体、行動上の反応を生じることについて理解できたか。
  3. ストレスに対してより健康的な対処方法を実践しようという意欲がもてたか。
6 家庭・地域との連携
  1. 地域の保健所・市町村保健センター、公民館、町内会活動などとの連携を図る。
  2. 保護者会や学年活動などを通して、親が家庭でできることを具体的に示して家庭との連携を図る。

親が家族でできる方法の例を以下に示す。

  1. 十分な栄養と休息を与えること。
    • おいしい食事の準備
  2. 有効なコミュニケーションスキルを考える。
    • 怒りで子どもを動かそうとしない。
    • イライラと、どうしてもしからなければならないことを区別する。
    • どうしてもしからなければならないことがあれば、行動そのものを注意する。
    • 子どもの自尊心を傷つけるような注意のしかたはしない。
    • 子どもに任せるときは、子ども自身ができると感じさせるようにする。
    • 子どもに何かものをたのむときには敬意を払う。
  3. ものの見方を変える:否定的見方から肯定的見方へ
    • すべてが悪いのではなく、ある特定の部分が悪いのであって他は問題ない。
    • すべてできないのではなく、これだけの部分はできる。
  4. 子どもとのレクリエーション的活動を行う。
    • かかわる大人自身も楽しむ。子どもは親が一緒にいて楽しそうにしているのを見て、愛されていると感じる。

前へMENUへ次へ

日本学校保健会トップページへ