文章番号:30159

指導の実際

2.薬物乱用が起きた場合の対応

薬物を乱用する生徒は、それまでに喫煙や飲酒など問題行動を起こしている場合が多いです。その背景には、学校が面白くない、家庭が面白くないなどの環境に問題があったり、深夜徘徊、家出、暴走行為や不良交遊等好ましくない人間関係があることが多いです。しかし、なかには全く問題がないと思われていた中学生が薬物を乱用する場合もあります。

現在の社会環境は、安易に薬物が手に入りやすい状況にあります。例えば、携帯電話を媒介にして、汚染の輪が急速に拡大し、低年齢層にまで及んでいる事例もあります。また、薬物乱用が発覚した場合、安易な退学処分によりその後の措置をとらなかったり、家庭の世間体に対する気がねなどから対応の遅れを生じさせている場合もあるのではないかと思われます。

一般的に、薬物乱用はその経験が少なければ少ないほど立ち直りが早く、多くなればなるほど困難であるとされています。また、依存の状態に陥っている場合は、病院や教護院や矯正施設等での治療が必要です。また完治したとされていても、再び薬物に手を染める場合も多いとされています。薬物乱用を防止するためには、学校や家庭、地域、警察、医療機関、更生施設等の役割を踏まえた協力が大切です。

1.学校における取組み

薬物乱用は反社会的であり、法を犯すものであるがゆえに、毅然とした対処をしなければなりません。しかし、人権にかかわる問題でもあるので、教育的な配慮を行うとともに個人情報は慎重に取り扱わなければなりません。その情報が個人の将来にとって不利にならないよう配慮する必要があります。また、つぎの点にも配慮する必要があります。

  1. 生徒の持ち物や身体状況を調べたりする場合は、地域からの情報提供があるなど特別な場合に限り行われるものであり、その際、生徒の人権に十分配慮し、必要かつ最小限の範囲で、適切な方法により実施されなければなりません。
  2. 学校において薬物乱用の行為を確認したときは、学校内での対応だけで解決を図ろうとするのではなく、生徒の心身への重大な影響及び違法な行為から保護するとの観点から、直ちに保護者及び警察等の関係機関に連絡し、適切な措置を講じる必要があります。
  3. 生徒が補導されるなどの状況に至った場合(事実上、生徒間では該当者が特定されてしまうことはあるが)、当該生徒のプライバシーの保護に十分配慮し、学校内で混乱が生じないよう他の生徒に対して指導を行う必要があります。その際、学校の対応が問題を隠匿しようとするものではなく、生徒の人権への配慮や今後の指導のためのものであることについて生徒に理解させることが大切です。
  4. 関係機関における措置の後、学校として処分を講じるかどうかは、教育的見地に立ち、個々の生徒の状況を踏まえて判断すべきであり、単なる制裁措置的な対応とならないよう配慮します。

2.家庭との連携

  1. 薬物の乱用を二度と繰り返さないようにするためには、家庭でも、関係機関との連携を図りながら適切な措置を講じることが重要であることを保護者に伝える必要があります。そのためにも日ごろから家庭との連携を通じ薬物乱用の重大な影響について理解を深めておくことが大切です。
  2. 家庭では世間体などを気にして関係機関への連絡を躊躇することもありますが、薬物を乱用した生徒の心身の保護のためには、早期に関係機関に相談したり治療できるよう支援します。

3.関係機関との連携

  1. 関係機関との連絡は、担当者を決め、生徒の個人情報の扱いに充分な配慮をする必要があり、関係機関との間で共通理解を得ることが大切です。
  2. 生徒が学校外で薬物を乱用して補導された場合には、少年の保護の観点から個別の生徒に関する情報が学校として十分に得られないが、一般的な情報(記者発表の内容等)は得られる場合もあるので、正確な情報確認のため、早期に関係機関と連絡を取る必要があります。

MENUへ

日本学校保健会トップページへ