文章番号:30158

指導の実際

1.日ごろからの取組み

1.学校における取組み

学校においては、薬物乱用防止に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて指導する必要があります。その際、薬物乱用防止に関する指導を学校の教育計画に適切に位置づけ、計画的、系統的な指導に取り組む必要があります。特に、保健体育科や特別活動における指導が中心となることが多いが、道徳や他の教科においても薬物の問題を取り上げることによって、効果を上げることができます。その際、学校行事などで薬物乱用防止教室を開催し、青少年担当の警察官や麻薬取締官OB、学校医や学校薬剤師の協力を得ることによって、一層の効果を上げることができます。

学校によっては、「寝た子を起こす」という状況になるのではと心配する教師もいますが、「どの生徒も薬物乱用に巻き込まれる危険に直面している」と考え、薬物についての基本的な知識を普及していく必要があります。その際、表面的な対症療法で済ますことなく、それぞれの心の内面にせまる取組みを行う必要があります。

(1)教職員の組織

組織の活動の例
  1. 学校においては、校長のリーダーシップのもと、教頭、保健主事、保健体育科主任、生徒指導主事、学級担任、養護教諭などが組織を作り、校務分掌を明確にして指導に当たる。
  2. 薬物の有害性・危険性に関する教職員の研修を行う。
  3. 授業研究を行う。
  4. 薬物乱用に関する情報の収集、発信地としての学校の機能を活用して、幅広く情報を収集するとともに、家庭や地域へ積極的に広報活動を行う。
  5. 家庭や地域からの情報を教職員に提供するために、組織や連絡体制を確立する。
  6. 保護者等からの生徒の健康に関する相談に応じるための窓口を設ける。
配慮事項
  1. 薬物乱用の防止に関する指導に際しては、生徒が「将来の健康に関する行動選択や自分の心や体を大切にすることが大切」との価値観を身に付けることができるように指導することが大切であることの共通理解を図る。
  2. 生徒個人やそれぞれの家庭のプライバシーの保護に努める。

(2)学校保健委員会

委員会の活動の例
  1. 薬物乱用防止に関する指導の徹底を図るための方策を検討するとともに、学校のみならず家庭や地域社会の問題として、幅広く検討する。
  2. 学校医、学校薬剤師、保健所職員など専門家の協力を得て、薬物乱用の害や実態についての資料を集め提供する。
  3. 学校における薬物乱用防止に関する指導計画への理解を求め、組織的・計画的に推進できるように協力を求める。
  4. 協議に当たっては、できるだけ幅広く意見を求める。
  5. 協議し決定した内容は、教職員全体に共通理解を図るとともに、家庭や地域に対しても周知し啓発に努める。

2.家庭との連携

薬物乱用を防止するためには、学校だけでなく、家庭との連携が重要です。そのためには、日ごろから開かれた学校づくりをするとともに、保護者との信頼関係の構築を図るとともに常に家庭にも働きかけ、基本的な生活習慣や社会のルールの遵守などに関する家庭の教育力を高めることが大切です。

連携のための活動例

  1. 積極的に保護者との交流の機会を増やすように努め、開かれた学校づくりを目指す。
  2. 学校、学年、学級単位の会合や懇談、学年通信、学級通信簿等の学校と家庭との多様な連絡の機会や手段を通じて、薬物乱用の問題について的確に伝える。また、学校の現状及び指導方針等を説明し、保護者の協力を求める。
  3. 映画、ビデオ上映、講演会の開催、PTA新聞、保健だより等情報提供はあらゆる機会を通して行う。
  4. 日ごろから、家庭訪問を実施したり、保護者の学校への訪問を歓迎するなどして、保護者との連絡を密にし、生徒の様子に関する情報を得るとともに、保護者の子育てに関する悩みや不安を十分受け止め、家庭との協力体制を確立する。
  5. PTAの会合をはじめ、あらゆる機会をとらえて、基本的な生活習慣を身に付けさせるために、しつけの大切さを訴えたり、心身ともに健康な子どもを育てるためにコミュニケーションを十分とるなど豊かな温かい家庭を築くことの大切さを訴えるなど、保護者への啓発に努める。

配慮事項

  1. 出身小学校と連携を図るが、生徒のプライバシー保護に留意する。
  2. 家庭訪問は保護者の了解の上で行い、突然であったり、おしつけにならないよう配慮する。
  3. 保護者に対しても支援し、ともに考え、ともに学びあう態度が必要であり、日ごろから信頼関係の確立や話し合いを重視する。
  4. 親子の関係を大切にし、親子の絆にひびが入らないよう配慮する。
  5. 保護者との話し合いに際しては、両親のいる家庭は、父親と母親ともに参加できるよう配慮する。場合によっては休日や夜間に懇談や地域懇談会を実施するなど、日ごろ参加できない保護者が参加できるよう配慮する。
  6. 学校と家庭が連携を図る場合、家庭内で十分に相談し、家庭の自主性を保ちながら学校との連携を図るように勧める。

3.地域との連携

薬物乱用などの行動が地域に及ぼす影響は大きいです。平和で安全な、健康的で住み良い環境づくりのためには地域全体における教育が重要です。そのためには、地域との連携が不可欠です。生徒は地域で生き、地域で育つがゆえに、地域の人々から理解と愛情をもって受け入れられるよう、学校からも積極的に地域に働きかける必要があります。

連携のための活動例

  1. 警察等と連携しながら薬物の売買が行われないような環境づくりをする。
  2. 地域の防犯協会等と連携して薬物乱用防止キャンペーンを開催する。
  3. PTA組織を活用し、地域の教育環境づくりのために広報を活用したり、地域の薬物乱用防止活動のための行事に協力する。
  4. 出身小学校と相互に学校訪問したり、小中高連絡会を設け児童生徒の情報交換をする。
  5. 各種犯罪、非社会的、反社会的行動の誘発等の問題を取り上げ、薬物乱用が、家庭、学校、地域社会に及ぼす影響を地域の住民に理解されるよう努力する。
  6. 地域の青少年健全育成団体や民生委員会等と常に連絡を密にし、会合や活動に協力する。ボランティア活動にも積極的に参加する。
  7. 地域の商工会・商店会等との情報交換を積極的に行い、青少年の健全育成のための活動を行う。

配慮事項

  1. 薬物乱用防止は学齢期のみならず、生涯を通して健康教育の一環としてとらえるとともに、地域の保健活動であることや平和で安全な社会をめざす取組みであることが理解されるよう配慮する。
  2. 薬物乱用は『ダメ。ゼッタイ。』という姿勢が隅々まで行きわたるよう地域で検討、協議し、対策や健康教育に結びつける方法を研究し、学校も積極的に取り組むよう配慮する。

4.関係機関との連携

社会は、全体が青少年の健全育成の使命をもち、学校もその一機関としての役割を担っています。薬物乱用防止のためには、学校における指導以上に専門的な知識や経験が必要な場合があります。そのためには関係機関の活用が必要であり、効果的な連携を図ったり、生徒の問題行動の解決を図るためには、学校が閉鎖的であってはなりません。

連携のための活動例

  1. 警察関係(校区内警察署の生活安全課少年係及び防犯係等)の協力を得る。
  2. 校区内補導センター、青少年対策委員会、学校警察連絡協議会、補導連絡会、防犯協議会等の機関とふだんから連携し、相互に情報を交換し、予防的措置や事後指導に当たる。
  3. 医療・保健機関(医師会、薬剤師会、保健所、精神保健福祉センター、精神医療センター等)と2)と同様に連携を図る。
  4. 学校において薬物乱用防止教室等を開催する際に、警察等の関係機関の専門家を講師として招く。

配慮事項

警察、保健所、麻薬取締官事務所等との連携で、生徒対象に講演等を依頼する際に、話の内容については、事前に十分な打ち合わせが必要である。

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