文章番号:30174

指導の実際

3.授業の展開例

7.新学習指導要領に基づく展開例

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6年生の展開例

  1. 単元名「病気の予防」
  2. 単元の目標
    1. 病気は,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわりあって起こることを理解できるようにする。
    2. 病原体が主な要因となって起こる病気の予防には,病原体を体に入れないことや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であることを理解できるようにする。
    3. 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には,栄養の偏りのない食事や口腔の衛生など,望ましい生活習慣を身につけることが必要であること,また,喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,健康を損なう原因となることを理解できるようにする。
  3. 単元計画
    A案
    主な学習内容と方法
    第1時 病気の起こり方

    かぜを取り上げ,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわりあって起こること

    一斉学習
    かぜにかかったときの体験リポート

    第2時 病原体がもとになって起こる病気の予防

    インフルエンザや結核を取り上げ,その予防には,病原体を体の中に入れないことが必要であること

    第3時

    健康によい生活の実践や予防接種によって,体の抵抗力を高めておくことが大切であること

    第4時 生活行動がかかわって起こる病気の予防

    血管が詰まったりする病気の予防には,糖分,脂肪分,塩分などを摂りすぎる偏った食事や間食をさけること

    自分の健康は自分で守るという意識を高め,健康によい生活行動を自ら実践する必要があること

    一斉学習
    食事,おやつ調べのワ一クシート

    事例を用いた学習(ケーススタディ)

    ロールプレイング

    第5時

    むし歯や歯ぐきの病気の予防には,口腔の衛生を保つ必要があること

    第6時

    喫煙には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があること

    第7時

    飲酒には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があること

    第8時

    シンナーは,心身に深刻な影響を及ぼすこと

    健康によい生活行動についてまとめる

    は展開例を示す

    単元計画作成にあたって
    1. 第1時にかぜを取り上げ,病気の起こり方を学習することで,次の時間からそれを生かしながら学習できるように考えた。
    2. 新しく入った喫煙,飲酒をそれぞれ1時間ずつ十分に時間をかけて扱う。
    3. 自分の健康は自分で守るという意識を高め,健康によい生活行動を実践する意欲をもたせるために,喫煙の勧めに対する断り方等のロールプレイング等を行う。
    B案
    主な学習内容と方法
    第1時 病気の起こり方

    かぜを取り上げ,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわりあって起こること

    一斉学習
    かぜにかかったときの体験リポート

    第2時 病原体がもとになって起こる病気の予防

    インフルエンザや結核を取り上げ,その予防には,病原体を体の中に入れないことが必要であること

    第3時

    健康によい生活の実践や予防接種によって,体の抵抗力を高めておくことが大切であること

    第4時 生活行動がかかわって起こる病気の予防

    血管が詰まったりする病気の予防には,糖分,脂肪分,塩分などを摂りすぎる食事や間食をさけること

    一斉学習

    • 食事,おやつ調べのワークシート
    • 喫煙者,飲酒者の聞き取り調査
    第5時

    むし歯や歯ぐきの病気の予防には,口腔の衛生を保つ必要があること

    第6時

    喫煙や飲酒には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があること

    第7時

    シンナーは,心身に深刻な影響を及ぼすこと

    第8時

    自分の健康は自分で守るという意識を高め,健康によい生活行動を自ら実践する必要があること

    ロールプレイング

    単元計画作成にあたって
    1. 新しく入った喫煙,飲酒は1時間で学習する,A案の変形プランである。
    2. 実践的な理解が図られるように,最後の時間にロールプレイングを学習に取り入れた。
    C案
    主な学習内容と方法
    第1時 病気の予防

    課題を発見・把握する。

    グループで課題を解決する。
    結核
    インフルエンザ
    歯周病
    むし歯
    心臓病
    脳そっちゅう
    がん
    病気の起こり方
    病気の予防

    課題解決のまとめ発表

    課題解決的な学習

    • 病気の経験に関するアンケート
    • 学習カード
    • インターネットができるパソコン
    • 病気に関する本
    第2時
    第3時
    第4時
    第5時
    第6時 喫煙,飲酒,薬物乱用防止

    喫煙や飲酒には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があること

    一斉学習

    第7時

    シンナーは,心身に深刻な影響を及ぼすこと

    第8時

    自分の健康は自分で守るという意識を高め,健康によい生活行動を自ら実践する必要があること

    ロールプレイング

    単元計画作成にあたって
    1. 第1時から第5時までを課題解決的な学習で行い,喫煙,飲酒,薬物乱用防止については,学級全体で学習する単元計画である。
    2. 喫煙,飲酒,薬物乱用についても課題解決的な学習を行い,最後の時間にまとめをすることで,喫煙,飲酒,薬物乱用のそれぞれの独自性や依存性という共通点を押さえる展開も考えられる。
  4. 展開例
    1. 第6時「たばこって,何?」
      1. ねらい
        喫煙には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があることを理解できるようにする。
      2. 事前の準備
        学習カード,問題文を拡大したもの,たばこの包装を拡大したもの,場面設定の絵図を拡大したもの,短冊カード,薬物乱用防止教育教材「薬物ってなーに?」(パネル2,3),薬物乱用防止教育ビデオ(小学生用)「ストップ・ザ・薬物」,カセットテープ,テープレコーダー
      3. 展開
        時間 学習活動 教師の支援
        5分

        1 たばこの害について考える。

        たばこの害についてどんなことを知っていますか。

        • 体に悪い。(写真1)
        • くさい。
        • けむい。
        • 周りの人にもよくない。
        • 短冊を用意しておき,グループで考えたことを書き込ませ,黒板に分類させる
          板書例)
        • すぐに現れる害
        • 後で出る害
        • その他
          ・受動喫煙
        10分

        2 たばこの包装に表示されている文を読み,その意味を考える。(写真2,パネル2,資料1,写真3)

        • 実物のたばこの包装に表示されている文を読む。(実物は持ち込まない。)
        • たばこの害は,全身に影響することを知らせる。
        • 煙の通り道がよごれると同時に,煙が血液の中にとけこみ,全身に送られることを説明する。
        • 法律で未成年の喫煙は禁止されていることを知らせる。(未成年者喫煙禁止法)
        • 成長期に細胞がどんどん作られる。
          →未熟,影響を受けやすい。
        • 胎児は大人の50倍も影響を受ける。
        • 吸い始めた年齢が早いほどがんになりやすい。(写真4)
        • 周りの人にも影響があることを押さえる。(受動喫煙)
        • 薬物乱用防止ビデオ(小学生用)「ストップ・ザ・薬物」のたばこの部分について視聴させ,考えさせる。[約4分]
        5分

        3 たばこの害は,大人より子どもの方が大きいことを知る。

        なぜ,子どもはたばこを吸ってはいけないの?

        • パネル3を見ながら,成長期の体に及ぼす影響を考える。
        15分

        4 喫煙をすすめられた時の態度を考える。(資料2,資料3)

        友達や先輩から,たばこをさそわれました。こんなときどうしますか。A君の立場にたって断る理由を考えましょう。

        • 体に悪いから。
        • 子どもだから。
        • 僕はきらいだもん。
        • もっと他のことでもスカッとなれるよ。
        • たばこを誘うような友達は友達じゃないよ。
        • 学習カードに書いて発表させる。
        • 事例学習をする。
        • 断りにくい状況があるということを学ばせる。
        • 断る台詞について,十分考えさせる。
        • 時間がない場合は,他にもどんな断り方があるか,保健指導などでも扱えるようにしておく。
        5分

        5 断る理由を大声で言う。

        • テープレコーダーに向かって,一人一人大声で発声させる。(写真5)
        5分

        6 学習してわかったこと,思ったことをまとめる。

        • 学習カードに書かせる。
      4. 評価
        喫煙には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があることを理解できたか。
      5. 授業を終えて
        • 初めて事例を用いた学習(ケーススタディ)を実施してみたが,たいへん興味深く,熱心に取り組む姿がみられ,意欲も高まった。ただし,断りにくい友達関係等をもっと具体的に設定する必要があった。
        • 各家庭で,たばこを吸っている実態が多く,子どもたちにとっても身近であったせいか,問題意識も高まっていった。
        • たばこの包装に書かれていることばは,実際に見ている子も多かった。お遣いに買いに行かされているという子が多いためかと思われる。
        • 家庭でも,けむたい場面に多く触れているため,なんとかやめてほしいという願いが多かった。
        • 自分の健康に悪いだけではなく,家族の健康にもよくないことを知って,「やめさせたい。」という子も多かった。
        • パネルもわかりやすく,活用しやすかった。
        • VTRは,わかりやすくまとめられてあり,使いやすかった。また,肺や血管の様子もよくわかり,自分をだいじにしようとする気持ちが高まった。

        授業の様子とワークシートにつきましては、(財)日本学校保健会発行「3・4年生から始める小学校保健学習のプラン-新学習指導要領に基づく授業の展開-」を参照。

    2. 第7時「アルコールって,何?」
      1. ねらい
        飲酒には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があることを理解できるようにする。
      2. 事前の準備
        学習カード,資料1を拡大したもの,短冊カード,薬物乱用防止教育教材「薬物ってなーに?」(パネル4),薬物乱用防止教育ビデオ(小学生用)「ストップ・ザ・薬物」
      3. 展開
        時間 学習活動 教師の支援
        15分

        1 アルコールについて考える。

        お酒を飲んでみたいと思ったことはありませんか。

        ・ある ・ない

        • 関心・意欲が高まるようにする。

        お酒を飲むとどうなるのかな。知っていることをたくさんあげてみましょう。

        • 顔が赤くなる。
        • 気持ちが悪くなる。(写真1)
        • 自分でやっていることがわからなくなる。
        • アルコール中毒になる。
        • 病気が進行する。
        • 死ぬ
        • グループごとに短冊カードに書かせ,黒板に分類して貼らせる。
          板書例)
          • すぐに現れること
          • 長い間続けると現れること
        5分

        2 アルコールが体に入るとどのように吸収され、体に影響を与えるかについて考える。

        • 胃腸
        • 肝臓(写真2)
        • 飲酒者の症状により,どこに特徴的に現れるか,気付かせる。
        • アルコールが吸収され血液中に入ると,種々の症状が現れることに結びつけるようにする。
        • 飲酒が一度に多量であると,胃腸や,脳,肝臓にどのような影響を与えるか気付かせる。
        • この症状は,未成年者や飲酒経験の少ない者に強く現れることを強調する。
        • 未成年者の飲酒が,急性アルコール中毒,アルコール症に結びつき,体に害を与えることが分かるようにする。
        • 法律で未成年の飲酒は禁止されていることを知らせる。
        • 薬物乱用防止ビデオ(小学生用)「ストップ・ザ・薬物」のアルコールの部分について視聴させ,考えさせる。[約5分](写真4)
        10分

        3 どのような飲酒によって,どのような症状が現れるのか話し合う。

        • イッキ飲みの危険
        • アルコールが,体に与える害
        • パネル4を見ながら,成長期の体に及ぼす影響を考える。(写真3)
        15分

        4 飲酒をすすめられた時の態度を考える。(資料2)

        どんなとき,お酒を飲むことを断わりにくくなるのかな。

        • お酒を飲んでいる人から誘われたとき。
        • みんなが飲んでいるとき。
        • 友達からすすめられたとき。
        • 先輩からすすめられたとき。
        • 年上の人からすすめられたとき。
        • 相手の気持ちを考えてしまうとき。
        • 親からすすめられたとき。
        • 親戚からすすめられたとき。
        • 学習カードに書いて発表させる。
        • 「飲みたくない」と思っていても,誘われたら困るような状況を考えさせる。
        • これまでの経験から考えさせる。
        • たとえ,断わりにくいことがあっても,きっぱり断わることが大切であることを押さえる。
        5分

        5 学習してわかったこと,思ったことをまとめる。

      4. 評価
        飲酒には,すぐに現れる影響と長い間続けると病気にかかりやすくなる影響があることを理解できたか。
      5. 授業を終えて
        • 各家庭で,飲酒している実態が多く,子どもたちにとっても身近であったせいか,問題意識も高まっていった。
        • パネルもわかりやすく,活用しやすかった。
        • VTRは,わかりやすくまとめてあり,使いやすかった。
        授業の様子とワークシートにつきましては、(財)日本学校保健会発行「3・4年生から始める小学校保健学習のプラン-新学習指導要領に基づく授業の展開-」を参照。
    3. 第8時「薬物乱用って,何?」
      1. ねらい
        シンナーは,心身に深刻な影響を及ぼすことを理解できるようにする。
      2. 事前の準備
        学習カード,学習カードの問題を拡大したもの,薬物乱用防止教育教材「薬物ってなーに?」(パネル1,5,6,7,8),薬物乱用防止教育ビデオ(小学生用)「ストップ・ザ・薬物」
      3. 展開
        時間 学習活動 教師の支援
        2分

        1 シンナーについて知っていることを発表する。

        シンナーという言葉を聞いたことがありませんか。どんなことを知っていますか。

        • おかしくなる。
        • 他にも覚せい剤や麻薬があることを知らせ,厳しく取り締まられていることを押さえる。
        • シンナー,覚せい剤、麻薬を薬物と言い,薬物を使うことを薬物乱用ということを押さえる。
        • シンナーについては身近な生活で使われていることを説明する。(セメダイン,ラッカーうすめ液)
        • 具体的な害については,中学校で学習することを知らせる。
        • 依存性について説明する。(それがないと,やっていけない。)
        • 3つの気分(ふつう・ハイ・落ち込み)の様子を説明する。
        • 試してからでは遅いものであることを強調する。
        • 未成年者の薬物乱用の実態についてグラフで示す。
        • 気が付いたことを発表させる。
        • 中学生や高校生に急増しており,特に女子に急増していることを押さえるようにする。
        • 犯罪や暴力団などとのかかわりになることにもふれるようにする。
        • 新聞記事を提示し,身近な問題になっていることを押さえる。( / 付○○新聞)
        • なぜ法律で禁止されているのかを説明する。
        • 「ためしてからでは遅い」「絶対にダメなもの」ということを強調する。
        • たばこやお酒も薬物であることを押さえる。
        • 薬も飲みすぎたら体に悪いことにもふれる。
        • ロールプレイングを使って考えさせる。
        • 6年生にとってはシンナー等は身近ではなく扱いにくいので,第6時と関連させて,たばこを断るロールプレイングとする。
        • 断る方法を考えさせる。
        • それぞれの考え方が出てくるように,自由に発言できる雰囲気をつくるようにする。
        • 身近に起こりそうな例をあげる。
        • 状況設定がクラス全員に分かるように,たっぷり時間をかける。
        • いろいろな考えが出るよう助言する。
        • 自分で作った台詞を使って,グループごとに,ロールプレイングをさせる。
        8分

        2 薬物が心や体に及ぼす影響について知る。

        • シンナーについて(パネル5)
        • 覚せい剤について(パネル6)
        20分

        3 薬物乱用が問題になっている理由について考える。(パネル7,パネル8)

        薬物乱用は特別な人だけの問題なのでしょうか。

        • 最近の薬物乱用の実態について知る。(パネル1)
          VTR[約15分](写真1)
        10分

        4 次のような場面で,A君だったらどうするかを考える。
        (P.73資料3を用いて)

        友達や先輩からたばこをさそわれました。こんなときどうしますか。A君になって断ってみましょう。

        <例>

        • 「いやだ」と言って素早く立ち去る。
        • 理由を言ってはっきり断る。
        • 相手にもたばこをやめるように説得する。
        5分

        5 学習してわかったこと,思ったことをまとめる。

        • 学習カードにまとめるようにする。
      4. 評価
        シンナーは,心身に深刻な影響を及ぼすことを理解することができたか。
      5. 授業を終えて
        • シンナー,覚せい剤,麻薬については,日常生活の中で触れる機会が少ないせいか,子どもたちの反応はなかなか出てこなかった。
        • 薬物の恐ろしさについては,VTRでよく理解できた。
        • ロールプレイングは,初めてであったが,言葉だけではなく,実際に演じてみることは,子どもにとって興味深く,大変学習が活発になった。今後も学級活動の時間を活用した保健指導などで継続して指導していく必要性を感じた。
        • ロールプレイングでは,児童等に誘う役をさせないのが原則となっている。しかし,本時では,次のような点に留意して誘う役と断る役を担当させたが,特に問題はなかった。
          1. 「はじめ」と「おわり」の合図をする。
          2. 役名を書いた「名札」を準備し,ロールプレイングの間だけの役であることを明確にする。
          3. 誘う役の言葉は,予め教師が準備し,誘う工夫はさせない。

        授業の様子とワークシートにつきましては、(財)日本学校保健会発行「3・4年生から始める小学校保健学習のプラン-新学習指導要領に基づく授業の展開-」を参照。

        「3・4年生から始める小学校保健学習のプラン-新学習指導要領に基づく授業の展開-」のお申し込みはこちらへ

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