文章番号:30170

指導の実際

3.授業の展開例

5.高等学校における展開例

対人関係「もし友達から薬物乱用をすすめられたら」

1 題材設定の理由

薬物乱用に関するさまざまな知識が実際に活用されるための前提として、ライフスキルを習得することが重要である。ここでは、青少年の薬物乱用へのきっかけに関する問題状況を認識し、友達から薬物乱用をすすめられるという圧力に対してどのように対処したらよいかを考えさせ、かつ、ライフスキルの一つである自己主張的コミュニケーションスキルを適用し上手に断ることができるようにするために、この題材を設定した。

2 指導のねらい
  1. ケーススタディの学習を通して、薬物乱用のきっかけに関する問題の状況を把握することができるようにする。
  2. 有効な対処の仕方や自己主張的コミュニケーションについて理解できるようにする。
  3. 友達から薬物乱用をすすめられるという圧力に対して、自己主張的コミュニケーションスキルを適用して上手に断ることができるようにする。
3 展開
指導事項 学習活動・内容 指導・支援上の留意点
ケーススタディによる問題状況把握
  1. 薬物乱用に関する問題状況を把握する。
  2. 数名のグループをつくる(以後の本時グループ活動はこのメンバーで行う)。
  3. 物語1・2・3について、登場人物の「気持ち」「考え」「行動の結果の予測」や主人公が「友達のすすめを断るのに難しい理由」「どのように断るか」等についてブレインストーミングする。
  • 心理的社会的要因が含まれている物語1、2、3を提示する。(図表9-1
  • 人の意見を聴かせることで他者への感受性を高めさせるとともに、豊かな発想ができるようにさせる。
  • ブレインストーミングを通し問題状況を生徒に把握させるが、重要なポイントについては確認して共通理解させる。
対処の仕方
  1. 「有効な対処の仕方」を知る。
  2. 自己主張的コミュニケーションのタイプについて知る。
  3. 自分自身としてどのように対処するかを考え、物語1・2・3にセリフを入れる。
  • 図表9-2を指示し説明する。
    (コミュニケーションのタイプについては、喫煙・飲酒・薬物乱用防止に関する指導の手引参照)
ロールプレイング
  1. ロールプレイングの方法と約束ごとを理解する。
  2. 各グループ内で、ケーススタディで取り上げた問題状況についてロールプレイングする。
    • グループのメンバー一人一人が、自分が記入したセリフを発表し演じる。そのとき、他の配役は、グループでローテーションしながら行う。
    • 演技者以外の人は、演技者がどのように対処しているかをよく観察する。
  3. ロールプレイング終了後グループで話し合う。
    • セリフ、口調、身ぶり、表情などの対処は適切だったか。
    • ロールプレイングで学んだことは何か。
  • ロールプレイングの約束ごとを指示し説明する。(図表9-3
  • 演じる物語は、グループで同一物語にしてもよいし、各自で選択させてもよい。
  • 生徒に「演じ・観察・話し合うことにより相互に学びあう」ことの大切さを強調する。
有効な対処の確認
  1. グループリーダーは、グループで話し合った結果を全体に発表する。
  2. 有効な対処の仕方や自己主張的コミュニケーションについて理解し、それを適用しロールプレイングすることで上手に「断る」練習ができたかを確認する。
  • 生徒の発表を静聴した後、重要なポイントをまとめる。
  • 「生徒が科学的な知識に基づいた、有効な断り方ができていたか」を評価し、今後の指導にフィードバックする。
4 準備
  1. 図表9-1:「物語1」「物語2」「物語3」 (秋田県健康教育研究会、1997年)
  2. 図表9-2:「有効な対処の仕方」「自己主張的コミュニケーション」
    有効な対処の仕方 自己主張的コミュニケーション
    1. その場を素早く立ち去る。
    2. 理由を言って、はっきり断る。
    3. 勧める相手に対して、逆に止めるように助言・支援する。
    自分の権利を論理的、合理的に主張する一方、相手の話を聞き権利を尊重する。脅かしたり、けなすことなく、自分の要求を伝える。身ぶり……しっかりとした落ちついた音声レベル、視線を合わせる。言語……「私は……こう感じます、したい」。
  3. 図表9-3:「ロールプレイングの約束ごと」
    1. そうした状況にあなた自身が置かれたとしたら、どういう態度や行動をとるかを考えて、あなたのシナリオを作りましょう(本時指導案でのシナリオ作成は、物語を提供しそれにセリフを入れる方法をとっている)。
    2. ロールプレイングは劇ではありません。シナリオは3分以内にしましょう。
    3. ロールプレイング中は、他の人(周囲の人)は、口をはさまないようにしましょう。
    4. 演技者以外の人も観察者として役割を果しましょう。
    5. ロールプレイング中に自発的な対応があってもよいが、横道にそれないようにしましょう。

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