文章番号:10115

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平成10年度「児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」概要

  1. 生活習慣病に関するリスクファクター調査結果
    生活習慣病に関するリスクファクターとしては、体位、血圧、血中脂質についての検査結果を集計し、平成4年度、6年度、8年度と比較しつつ、平成10年度の成績を検討した。体位、血圧、血中脂質のいずれの検査項目も集団としてみた場合には、この7年間にそれほど大きな変動は認められなかった。
    1. (1)体位
      身長は、中学生男子で平成4年度から平成10年度までの7年間に増加する傾向があり、体重は男女とも中学生で増加傾向がみられた。しかし、高校生では、身長、体重ともに変化はみられなかった。
      身長、体重は過去の調査結果同様に、中学生以降男子が女子を上回り、高校生では、平均値で男子が女子を12.1cm、7.8kg上回っていた。
      BMIについては、男女とも中学生で年度を追って上昇する傾向をみたが、高校生では差を認めなかった。
    2. (2)血圧
      血圧については、男女とも高血圧者の比率は、1.0%から4.3%の間にあり、前回までの成績と差異はなかった。前回調査との比較では、高校生男子において、収縮期(最高)血圧の平均値が他の学年別性別の群よりやや高い傾向と全学年の女子において、収縮期高血圧者の比率がやや増加している傾向がみられた。
    3. (3)血中脂質
      総コレステロールについては、男女とも高校生では高コレステロール者の比率が7年間に増加する傾向がみられた。特に高校生女子では、平成10年度に総コレステロールが200m/dl以上の者が20%以上にみられた。一方、HDLコレステロールは男女とも高校生において、7年間に高くなる傾向が認められた。

      高コレストロール者率における過去の調査結果との比較(男子)
      図1 高コレストロール者率における過去の調査結果との比較(男子)

      高コレストロール者率における過去の調査結果との比較(女子)
      図2 高コレストロール者率における過去の調査結果との比較(女子)

  2. ライフスタイルに関する調査結果
    ライフスタイルとしては、就寝時刻、排便の習慣、朝食の摂取状況、ダイエットの経験、運動時間、パソコンやゲームの時間などについて、アンケート結果を集計し、昭和56年(同様の調査を実施)、平成4年度、6年度、8年度と比較しつつ、平成10年度の結果を検討した。
    ライフスタイルについては、児童生徒の生活の夜型化により休養が不足し、テレビゲームの普及などに伴って、運動不足がひろがっている。また若者に始まった痩身志向が小学生にまで拡大してきている。
    1. (1)就寝時刻、睡眠時間
      就寝時刻は、学年が進むにつれて遅くなる傾向にあり、高校生では前回と比べて、就寝時刻がわずかに遅くなった。平均睡眠時間は、男子7時間44分、女子7時間23分で、特に変化はないが、高校生の平均睡眠時間は、男子16分、女子5分短くなった。
    2. (2)朝食の摂取状況
      朝食の摂取状況は、女子の方が規則正しく食べる傾向が認められるが、学年が進むにつれて、朝食の欠食率が上昇し、高校生では、男子14.1%、女子9.7%であった。
    3. (3)痩身志向
      自分の体型については、「やせたい」と思っている者の割合が、男子38.3%、女子76.8%であった。痩身願望は女子に強く、中学校以降に目立っていた。ダイエットを実行した者は、「肥りすぎと医師や先生に言われ、指導を受けて実行した」と答えた者が、男子1.1%、女子0.9%であり、自ら「やせたいと思って実行した」と答えた者は、男子10.4%、女子33.8%であった。
    4. (4)運動時間
      1週間の総運動時間は、男子13時間21分、女子9時間42分であり、前回調査に比し、わずかに増加しているものの、運動量の減少傾向は依然続いている。一方、家庭で過ごした時間は、学校から帰宅後パソコンやテレビゲームをした時間が、中学校男子で1時間46分、高校生男子で2時間に達している。その結果、室内で過ごした時間は、男子は学年が進むにつれて増加し、高校生では4時間41分、女子では中学生が最も長くて4時間19分であった。室内での遊びは男女ともいずれの学年においても読書や音楽鑑賞などよりも、テレビやビデオ、パソコンやテレビゲームに費やす時間の方が長くなっていた。
    5. (5)ライフスタイルと生活習慣病のリスクファクターとの関連
      ダイエットの経験と体重との関連では、女子は指導を受けてダイエットを実行した群で体重が重かった。その他の女子はダイエットの必要性がないのに自らやせたいと思って実行したと考えられる。また、ダイエットの経験と血圧および血中脂質の関連では、女子で指導を受けてダイエットを実行した群は収縮期血圧が高く、HDLコレステロールが低い傾向にあった。これにより、ダイエットを必要とする者に正しい指導が行われていたといえる。
      通学における片道の歩行時間と血圧および血中脂質の関連では、高校生男子において、歩いた時間が長くなると収縮期血圧が低く、短くなるとHDLコレステロールが低くなる傾向にあった。
      上記のような成績から、ライフスタイルとリスクファクターの間には、関連があることが示唆された。

      学校に行く日の朝食の摂取状況(男子)
      図3 学校に行く日の朝食の摂取状況(男子)

      学校に行く日の朝食の摂取状況(女子)
      図4 学校に行く日の朝食の摂取状況(女子)

      自分の体型について(男子)
      図5 自分の体型について(男子)

      自分の体型について(女子)
      図6 自分の体型について(女子)

  3. アレルギー様症状に関する調査結果
    アレルギー様症状に関する調査としては、「アレルギーと言われたことがあるか」、「症状」、「アレルゲン」等を集計した。
    1. (1)「現在アレルギーと言われている」と答えた者は男女ともに約15%であり、「以前(1年以上前)にアレルギーと言われたことがある。」と答えた者は男女とも約31%であり、学年による差はなかった。
    2. (2)「現在アレルギーと言われている」と答えた者、男女合わせると小学生は約17%、中学生約12%、高校生約15%であった。うち症状は、これまでと同様に、「アレルギー性鼻炎」、「アトピー性皮膚炎」、「ぜん息」の順となっていた。
    3. (3)アレルゲンについては、「ほこり(ハウスダスト)やダニ」と答えた者が、約30%でもっとも多く、「花粉類」(約29%)、「食物類」(約10%)の順となった。

    医師からアレルギーと言われたことの有無(男子)
    図7 医師からアレルギーと言われたことの有無(男子)

    医師からアレルギーと言われたことの有無(女子)
    図8 医師からアレルギーと言われたことの有無(女子)


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